そう、ジャンケンはお互いのお腹の中に入れられた拳の形を体表に見えるように突き出すという過酷な遊戯だった。
「嬉しそうじゃないか……大切な『傀儡の瞳』を使い切っちまってると言うのによ」
 散々、自我を奪われた、やりたくも無い事をやらされて。
 今回のジャンケンも最初の自己紹介の時には命じられるままに行動していた。
「嬉しいわけがありません、こんな事までさせられて」
「あはは、それが似合う女だよ、お前は」
「なぜ!あっ!」
 ゴーミンは下腹部に注射器を突き刺した。
「散々フィストをしちまったからな、筋肉を復活させる薬剤だ」