「まぁお待ちください、ちゃんと説明させて頂きますから」
 園長は、正門を開けて笑顔で対応した。
「どんな言い訳が出来ると言うんだ!」
「そうだそうだ、人権問題だぞ!」
「分かります、わかりますよ……なのでこれを見て下さい」
 園長先生はMAKOの人畜証明書を持ち出して説明を始める。
「国が発行している証明書です、人から家畜になるという新しい生産方式の確立を求められての法律なのですが……」
「本当に?」
「交易産業省と農林水産省のサイトで登録された人畜は確認が出来ますよ」
 事細かに、その法案が産み出された流れを説明していく園長の言葉、次第に詰めかけた人たちの間にそれが今現在においては普通に行われてる事だと思い始めて行った。
「しかもうちのMAKOは登録番号が1番なんですよ、こういう新しい制度も子供たちに体感してもらい、人も家畜も同じように接しなければいけないという教育を目指しているのです」
 もう、園長を批判する者はいなくなっていた……
 嘗てザンギャックが支配する宇宙からの高圧外交により政府が折れ、志願して人権を捨てた人の為の人畜登録の法整備がされて2年……。
 むろん望んで人畜に登録する人は居ない。だから人畜に登録されているほぼ全員の女性達がザンギャックにより強制的に人畜にされているのだった。