「着いたよ……ここまで連れてくるように言われてたんだ」
 到着したのは茉子がいつも搾乳とチーズ生産をしている保育幼稚園の寮だった。
 この寮に着くまでの道で少年の話をたくさん聞いてあげた、学校でいじめられていた事、肉親が居ない事、茉子に一目惚れした事、本当は優しい子なんだという事も。
 様々な要因が重なって生きる事に疲れ少年は名誉市民になって欲望のまま生きてみようと不器用にもがいていたのだった。
「今からでもやり直せるかもしれないっ! 今からでもこんな事っ……!❤ あっ!❤」
 弱っている人は見逃せない……そして優しい人である以上放って置くわけには行かなかった、だが少年は聞く耳を持たずにピアスを振動させた。