「流石です殿、今日も一部の隙もございませんな」
「はぁそういう言葉はいい」
「何を照れておいでか、流石ですぞ!」
 朝の打ち込みに余念の無い、丈瑠と彦馬さんの背後を黒子に押される様に通り抜ける……二人はまだ茉子の到着に気づいていない様子だった。
「んっ……❤ ちょっ……!……!❤」
 黒子さんは、丈瑠と彦馬さんに気づかれてしまっても構わないかのような大胆さで押して来る。
 そうなると、茉子はバレてしまわないかとヒヤヒヤしながら、もしもの時の為に胸を両手で隠そうとしたのだが、黒子さんの手がそれを絶妙に阻害して来るのだった。
「あ❤……そんな❤……」
 早くなっていく心音が脳まで響き渡りそうだった。