「いやぁあああああああああああああああああああああああああ!」
 我が子を失ったかのような悲鳴が上がる。
「いい加減して、自己犠牲なんてまっぴらよ! 何をしているの!」
「だって、誰かの子供だったかもしれないのに!」
「そう、彼らがそう言ったからね……見分けなんてつかないでしょ」
「でも、感じた……」
 ペギーさんの言葉に抵抗する、我が子を愛する母性本能故の理屈に合わない行動だった。
「感受性が豊かで素晴らしいわ、でもね……あれは敵の戦闘員なのよ」
「でも、私たちの子供だから……」
 ペギーさんはハッキリと言う、間違いでは無い事も分かってはいた……それでも
「茉子ちゃん、あなたお尻でチーズを作れるように改造されて日課のようにしてチーズ作ってるわよね」
 言われると恥ずかしくなってしまう人畜として日課としてチーズ生産、さらに効率を上げるために新しいナノマシンの実験も受け続けている。
「だから……なんですか?」
 つらい毎日をペギーさんは分かっていないのだと感じてしまった。
「それと同じよ、敵の戦闘兵を子宮を使って工場の様に生産させられてるってだけで、あの子供ゴーミンはチーズと一緒なのよ」
「そんな! 生きてるんですよ!」
 ペギーさんのいう事が分からない、不本意とはいえ自分自身から生まれた血を分けた子供なのに……
「生きてるから、殺せるんでしょ?」
 殺すという言葉が重たかった……
「私は私の子宮を使って産れてきたゴーミンを全て殺すまで止めないわよ」
 その言葉にやっと思い至る、二年前ザンギャックTVの記念イベントで一日どれだけのゴーミンを産めるのかを中継されていたのはペギーさんだった。
「あいつらは敵の戦闘兵、それを増やした責任を感じることはあっても生かさせるなんて考えようがない、全部殺すわ!」
 覚悟の深さが違うと思わされた……