「あれ?ここじゃ無いのか?」
 丈瑠が部屋に入った頃には誰も居ない空間がすでに完成されていた……。
(丈瑠……)
 襖一枚だけ押し入れ内の状況を隠している環境……すぐ隣に居る丈瑠にまで自身の心臓の音が聞こえてしまうのではないかという不安と緊張が渦巻く。
 クチュ……………… クチュ!…………
(ん……!❤️ 気づかれちゃう……!❤️❤️❤️ 止まって……!❤️❤️❤️)
「ん?」
 押し入れの中から微かに聞こえた音に丈瑠が気づく。
「殿、あちらで彦馬さまがお呼びです」
「そうか、何だろう?」