「茉子……大丈夫よ、あなたと一緒ですもの」
「母さん……」
 響子はいつの間にか母の顔を見せる。
「一緒に暮らせるなんてね……夢みたいよ」
 代々シンケンピンクとして白石家に受け継がれる使命とはいえ、断腸の思いで娘を残して日本を去り、その後娘とは数回しか会う事ができなかった。
 こんな形とはいえ嬉しいのは本心だった……。
「母さんごめんなさい……」
「大丈夫よ……一緒にいれば、大丈夫」
 責任感を感じ涙が止まらない様子の娘を安堵できるような言葉をかける。
「うう……」
「こら、しっかりしなさいシンケンピンク!」
「だって……変身できないんだものぉ……」
 娘の張っていた緊張をやっと解くことが出来たのかもしれなかった。
「感動の再会だな、喜べナノマシンの副作用だ、この女の下半身は動くようになっているぞ」
「「え?」」
 そういえば、母乳を注入されながら響子はしっかりとした四つん這いになっていた。
「茉子!」
「母さん!」
「悪いことばかりじゃ無いわよ……」
 十数年ぶりに足が動く事に響子まで泣いてしまいそうになった。