宇宙戦隊キュウレンジャーと、あまたのスーパー戦隊の活躍により、宇宙幕府ジャークマター、新生ザンギャックといった支配者達が姿を消した。
 それと時を同じくして、世界を繋いでいた力の根幹が消滅していった。
 宇宙に、ようやく平和が訪れようとしていたのだった。

 その運命の瞬間に1隻の海賊船が宇宙の海原を、それこそ暢気に航行していた。
「ん?」
 宇宙の全てから目撃されたかもしれないイベントに最初に気が付いたのは寡黙な剣士だった。
「なんだろう……」
 気弱なエンジニアもそれに続き……
「うわぁ宇宙中に散らばっていきますねぇ」
 元気な地球人は、感嘆の声を上げた。
「どうした?」
「ほらほら、マーベラスさん!」
 彼等、海賊戦隊ゴーカイジャーの男子たちが、ガレオンの窓枠に鈴なりになりながら、目撃したものは光の粒が宇宙中へと散っていく様だった。
「なんかこれって……」
「凱、何か知ってんのか?」
「いえ、確証はないんですけど……」
 らしくもなく言いよどむ凱にマーベラスは先を促す。
「もう、気を持たせてないで早く言いなよ」
「だな」
 聞きたいのは、ハカセもジョーも同じらしい。
「では」
 凱は意を決した様に、手の中にゴーカイシルバーのレンジャーキーを取り出し、それを見せながら。
「かつて地球で起こったレジェンド大戦、その直後見上げた空を走り抜けた光に、良く似ていた気がして」
 そう、スーパー戦隊の力を宿したレンジャーキーが宇宙中に散らばり、アカレッドと共にマーベラスが赤き海賊団としてかき集めた。
「「「!」」」
 バッ!
 瞬時に、各々が自分のレンジャーキーを確認し。
「なんだ」
「ふっ あるじゃないか」
「なんだよ凱、心配させるなよ」
「だから、良く似てるって言ったじゃないですかぁ」
 緊張が一気に解ける。
「だが、お宝の可能性はあるな」
「「「!」」」
「トリ! 始めろ!」
「ええ? きいたこともないお宝のナビゲートなんてできないよぉ」
「いいからやれ!」
「めんどうだなぁ」
「このやろう、面倒なだけじゃねぇか!」
 ひゅぅ……ゴンッ! くるくる……ピヨッピヨッ!
「ユーキとサイーウの故郷はどこじゃろう?」
「ん?」
 ナビィの懐かしいナビゲート。
「こんなんでましたけど……」
 そして、相変わらずの意味不明具合。
「新生ザンギャック帝国皇帝だったサイウスとユーキス兄弟の出身星じゃないかな?」
「たしか、けっこうな田舎だったはずだな」
「ふん、舵を取れ! 出発だ!」
「いや、だからマーベラス、まだどの星かは」
「さっさと調べろ、レンジャーキーと同等なら、あれを総て集めたら宇宙最大級のお宝だって事だろ! 平和になった宇宙で宝探しと行こうぜ!」
「だぁああい賛成です! 宇宙海賊の醍醐味ですね!」
「それ相応の危険は有りそうだがな」
「うわぁ……嫌だなぁ」
 そんな男達の会話に入らずに、女子二人は展望台に昇っていた。