「見た? アイム」
「はい、見ましたわ。ルカさん」
 展望台から、宇宙を見上げ、散っていく数多の光、よく見ればピンクや黄色が多い。
「聞こえた? アイム」
「はい、聞こえましたわ。ルカさん」
 この宇宙中に充満していた気配が断末魔を上げて消えていった気配。
「ヨコザが……ついに」
「はい、でも……」
 総ての世界の中で、神の様に世界と同化していたであろうヨコザが消えていった気配。
「だから、あれは……」
 ルカは手の中に収まるレンジャーキーを見つめる。
「私たちの……」
 アイムが言う私たちの「たち」に含まれるのはルカとアイムの二人だけじゃなく、ヨコザのよって支配されていたスーパー戦隊に係わった女性総ての事だった。
「スーパー戦隊の「淫らなる力」って事なのかもね……」
 かつて、レンジャーキーの中に一時隠されていた、ゴーミンによって自由を奪われたヒロインたちの陵辱された記録と経験。
「あれが、誰かの手に渡ったら……」
 アイムの不安は、ルカの不安でもあった。
「宇宙は平和になった、でも……私たちの不安は宇宙中に広がってしまった」
 沈黙が流れ、そして空は日常の宇宙空間の景色を取り戻している。
「きゃ!」
 ガレオンのスピードが上がった。
「え? どうしたのよ急に?」
「見てなかったのかルカ、お宝探しに行くぜ!」
 伝声管からはマーベラスの返事があっという間に帰ってきた。
「わたくしたちで先に」
「見つけるしかないわね」
 ルカとアイムの覚悟は決まっていた。

乙女座系惑星インフブンラコン・スショ星
「ここが、奴らのふるさとか? 湿気た所だな」
 地表に降りたっての第一声。
「マーベラス!」
「それにしたって、誰もいないじゃないか?」
「ジョーも」


「よし、アイムあっち探しに行こう!」
「はい、ルカさん」
 アイムの手を握って、和から抜けるルカ。
「そうですね、じゃあドンさん我々はあちらに行きましょう!」
「そうか、これだけ人気がないなら分散して探してもいいかもね……」
 凱に誘われるままにハカセも歩き出す。
「仕方がない、マーベラス」
「おう、俺たちは残されたあっち方面だな、行くぜ」