「AV女優の青柳美月だな?」
 リモコンを持っていた男は美月のアゴを掴むと、顔を上げさせて、まじまじと見つめる。
「さあ? 誰の事ですか?」
 人違いだと言おうとした瞬間、ピアスが跳ねた。
「ひぁん❤❤!!」
「人違いだと言い張るなら、リモコンを入れたままにしても構わないが?」
 誤魔化しようのない状況に、観念して認める。
「わかりました……」
 ピアスが止まっても、美月の境遇は変わらない。
「俺はお前を使って撮りたいAVがあるんだ。」
 男は異種姦専門のAV監督だと名乗った。
「さあ、仕事だ。」
 男に手を引かれ、停まっていた車に連れ込まれる。
 走り出した車の中で、この後に待ち構えている事態を想像し、泣き出しそうになるのを堪えていた。