ネカフェでトッキュウジャーの知識を集めてから美緒に会うために昴ヶ浜にやって来た美月。
「確か、こっちだったはずだけど……」
 昴ヶ浜駅から出ると、美緒の家でもある駐在所を目指して歩き出す。
 そして、その姿を陰から気付かれないように見ている名誉市民達。
「いたぞ、青柳美月だ。」
「昴ヶ浜に来たって事は、トッキュウジャーに会いに来たんだろう。」
「カグラの反応はさっきまであったが……」
「美緒の反応は結構前から消えてるな……」
 名誉市民達は、美月の目的が美緒達に会いに来た事までは当てていた。
「どうする、合流してから襲うか?」
「いや、もう少し様子を見よう。」
「我々では変身したヒロインには太刀打ち出来ないからな……」
 既に失敗例を聞かされているのか、慎重に計画を立てていく。

「美緒さんは帰宅されていますか?」
 美月は美緒の父親である警察官に声を掛け、以前縁があって知り合い、今回たまたま近くに来たので立ち寄ったと説明した。
「そうでしたか……残念ですが、美緒はまだ学校から帰って来てないんですよ。」
 最近は帰りが遅くて……と心配そうな顔をする父親に、「美緒さんの事だから、学校の手伝いをされているんですよ。」と心当たりとは違う事を言い、学校の場所を確認して駐在所を後にする。
『ごめんなさい……』
 美緒の心配をする父親に本当の事など言えるはずもなく、嘘をついてしまった事に心の中で謝罪する美月。

「貴女は……」
 校門で無事に美緒に会えた美月。
「お久しぶりです。」
 美緒の方が歳下で戦隊ヒロインとしても後輩なのだが、公認戦隊である美緒に対して自然と敬語になってしまう。
「お久しぶりです。美月さん。」
 お互いの体を抱きしめて再会を喜ぶ。
「ところで貴女は、ヨコザの……」
 美緒が現状を確認するべく質問すると、美月は途中で頷いて「そうです。」と答える。
「それじゃあ、何しにここへ?」
『ヒロイン達をヨコザの尻奴隷にする事で、ザンギャックの慰安婦から解放する。』
 それが今の美緒のやるべき事であり、ヨコザの尻奴隷になった元慰安婦達も同じように動いているのだと考えていた。
「私達に、トッキュウジャーの大それた力を下さい。」
 かつてゴウカイシルバーと名乗る人が、同じような事を言って来たのを思い出す。
「大それた力?」
 しかし美月は大いなる力ではなく、大それた力と言う。
「はい。我々非公認戦隊に、公認様の大それた力を貸してください。」
 冗談ではなく、本気でそう言い切って頭を下げる美月を見て美緒は答える。
「どうすれば良いの?」
 美緒の回答に明るい顔で頭を上げる美月。
「それでは……」