美月の目が覚めた時、目の前でめぐみは涙を流して眠っていた。 　体が綺麗になり、本来なら感じるはずの下腹部の痛みが和らいでいる事から、めぐみが治療してくれた事は簡単に想像できた。 「めぐみさん。起きてください。」 　寝ているめぐみの肩を揺すって、覚醒させる。 「改めまして、非公認戦隊アキバレンジャーのアキバブルー、青柳美月です。」 　深々とお辞儀する。 「あんな出会い方になってしまいましたが、本日はお願いがあってやって来ました。」 　頭を下げたまま大それた力の説明をする。 「私達に、ライブマンの大それた力を貸してください。」 『大それた力……大いなる力とは別の、各戦隊が持っている力……』 　研究者としての本能がウズウズする。 「わかったわ。」 　興味を抑え込んで、少女に回答する。 　美月の頭が勢いよく上がり、満面の笑みを浮かべている。 「ありがとうございます。」 「それで、どうすればいいのかしら？」 　美月は美緒の時と同じように、大それた力の発現条件について説明する。 「こんな、感じかしら？」 　美月の説明を受けて、めぐみがライブマンの力をイメージすると、イルカ状の光が美月の体に吸い込まれていった。 「成功したみたいです。」 　美月も大それた力を受け取ったと感じると言っている。 「それで、貴女はこれからどうするの？」 　新しく体に着けられたピアスは、再び美月がザンギャックの慰安婦になった証だった。 　その上、首にはヨコザワルドの尻奴隷の証の首輪も付いている。 　それらの説明をめぐみにしていた美月が、不意に立ち上がる。 「あぁ!!　ゆめりあや２代目が危ない!!」 　美月が襲われてもヨコザワルドが助けてくれなかった事を思い出し、今のままではゆめりあ達も危ないと気がつく。 「仕方ないわね。」 　めぐみが美月の肩を抱きしめる。 「めぐみさん？」 　少し照れたように戸惑う美月。 「貴女の仲間達を助けに行くわよ。勿論、他の戦隊の娘達もね。」 　笑顔で宣言するめぐみ。 「でも……」 　美月の顔は暗かった。 「このピアスが着いてる私と一緒にいると、位置がバレてしまいます……」 　めぐみは考え込んでいたが、美月の手を取って歩き出す。 「え？　え？」 「私だってずっと色々とされてたからね、わかるわよぉ」 　慌てる美月に笑いかけると、 「とにかく、外せないか確認してみましょう。」 　ここは英知の集うアカデメイアなのだから。と笑顔でめぐみの研究室へと向かう。 「外せないにしても、妨害電波発生装置くらい作ってみせるわよ。」 　機械の名称が少し古い気もするが、あえて突っ込んだりはしない。 「私、頭良いのよ。」と笑うめぐみには不思議な説得力があった。 　めぐみの研究室で新型ピアスと首輪の検査を受ける為に裸になった美月は、裸でも笑っていられた。 　それは、これから始まる希望への一歩だと信じていたからだった。