「さあ、帰りますよ。」
 ピアスがつけられ、シャチークに無理矢理立たされる。
「待って!!」
 床には彼が倒れ、産まれたばかりの赤ん坊が泣いている。
「ちゃんと、他の名誉市民が処理に来ますよ。」
 処理……その言葉に青ざめる。
「安心してください。利用価値のある娘は助けますよ。」
 今、美月が置かれている立場を考えると、何を安心しろと言うのかわからないが、娘の命だけは助かるらしい。
「撮影ノルマが溜まっていますから、残業してもらいますよ。」
 歩き出した美月の足取りは重かった。