バシィッ!
乾いた音が響き渡り、シャチークは美月の頬を打った。
「帰って来なかったじゃないか!」
熱くジンジンと痺れる頬を押さえる。
「そう言うピアスを妄想しろって言ったよな!」
美月が新しく作ったピアスは予定通りの性能を発揮しなかった。
「そ……そんな」
もちろん、美月が経験したことのない状況を重妄想だけではカバーしきれないのは当然だが。
「横沢様に役立たずと思われただろうが!」
シャチークにとって一番あってはならないのは、上司から必要無しのレッテルを貼られる事だった。