「待ってたよ、奥さん」
 そして、整理券を見せた後で男は小さなライトで股間を確認すると。
「本当に入れてきた」
「そう命令したじゃない」
「でも、本当に嫌ならしないだろ……」
 それで許されずに、隠し通してきたこの状況を、今更兄さんに知られたくはない。
 ましてや、理香に被害が及ぶのは避けたかった。
「く……」
「じゃあ、町内一周が今日のお勤めだから」
 そう言って、男が首輪に犬用のリードを付けると歩き出した。
「あ……あまり早くは」
「そうか、長く歩いていたいんだね、分かったよ……あ、あっちからも来るよ」
 すれ違ったのは見たことのあるアイドル、全世界的な売れっ子だって聞いた気がする。
「まさか……」
 優子と同じように、全裸にザンギャックのピアス、その上からビニールのレインコート。
「アナルビーズがメインらしいけどね」
 やはり、同じ事が起きている。
「ザンギャックは地球を征服しないの?」
「さあ……俺の知った事じゃない」
 本当に優子たちは地球を守れているのか、疑問に思わざるを得なかった。