本人の焦りとは裏腹に、高校生達と楽しそうに会話をしながら駅の中に入って行く。
 電車に乗り、閑静な田舎の駅で降りる。
 周りに民家はなく、風に乗って潮の匂いがする。
「海で遊びましょう。」
 彼らはそう言うと、人気の無い砂浜へと歩き出していく。
「うわぁ……きれい……」
 人気の無いその砂浜は周りを崖に囲まれ、波も穏やかで水面をキラキラと光らせていた。
 その景色は、確かにきれいだった。
 定番の言い方をすれば、白い砂浜、青い海……
 そして、そこにはりんと高校生達しかいない。
 高校生達は、着ていた服を脱ぐと海パン姿になる。
「そうでしょう。ココは滅多に人が来ないし、穴場なんですよ。」
 爽やかな笑顔で海へと飛び込んで行く。
「ほら、お姉さんも早くおいでよ。」
 海で遊ぶ彼等からは、邪気など感じられない。
『考えすぎなのかな……』
 不思議な現象が起きているのは、疲れとソウジへの怒りが原因なのかと思い始めたその時、決定的な出来事が起こる。
 当然だが、りんは水着など着ていないし、持っていない。
 にも関わらず、海に向かいながら着ていた服を脱ぎ始めていた。