「さあ、もう大丈夫だ。家に帰って日常を取り戻すと良い」
 帰り際の美緒の肩を掴みながら、横沢管理官は嬉しそうに話しかけてくれる。
「備品として登録したことによって、お父様にも心配かけずに済むし、備品だという事はお父様には黙って居ればいいしね」
 お父さんに嘘をつくのは気が引けるのだけど。
「まぁ聞いてるかもしれないけど、スーパー戦隊のヒロインには招集がかかっているらしい、あのへんなアイテムを回収するためにね」
「協力します……」
 美緒の首につけられていたチョーカーのような物が沢山有ると聞かされ、自分のような被害者を増やさない為にもソレを集めるのは納得できる。
 しかも美緒と神楽に連絡が来なかったのは、まだ子供だからなのだと、すぐに合点がいった。
 しかし……
「何で、私の……にピアスを……」
 羞恥心からモゴモゴと言葉が出せなくなってしまう
「ん? どうしたのかな?」
 敏感な場所につけられたピアス。その深い意味とはなんなのか?
「覚えておくと良いよ、スーパー戦隊の入ってる女性は全員付けているものだから。」
 口篭もった美緒の疑問に斜め上の答えが返って来た。
「え? そうなんですか?」
 記憶の底でトッキュウジャーだった時の事が思い浮かぶ、確かにそれは付いていたのかもしれない、でもどうやって、誰に……何故記憶は無くなったのか、分からない事が多すぎるのだった。