「こっちには、伊賀崎の写真があるのを忘れたのかよ!」
「これですか?」
 霞の手の中には、男子学生たちのスマートフォンが収まっていた。
「い、いつの間に!」
 通り抜ける最中にこれ見よがしに、あったそれは全部回収して。
 メキョ……
「もう、直らないと思いますけど」
 火花を散らしながら、地面へと落ちていく。
「な! 相手は女一人、力付くだ!」
 そう言うことを言い出す時点で、相手の力を見誤っている。