はぁ……はぁ……まだ、風に鳥にあたしは近づけていない。
「瀬奈? 大丈夫? ……無理してないかしら?」
 振り向いた先には真咲美希さん。スクラッチ社の特別開発室室長という偉い人だ。
 瀬奈とは、スクラッチ社がスポンサーとしてバックアップをしてくれた縁で、今日も測定データからの検証という形でデータ取りをしてくれている。
「新しい靴がちょっと合わないのかもね、国内レースなら市販されてない靴も使えるけど……」
 靴の所為じゃない、走りにはキラキラが必要だ。