「お願いします」
「「お願いします」」
 今日のオペを特別視してる訳じゃない、ただハーさんの身内というだけだ。
「もう落ちてるから、始めていいよ」
「メス!」
 麻酔科医師としての彼の腕は最上級だ、患者の状態を見極め、薬の量やタイミングを見誤ったことは無い。
「俺も始めようかな……」
 小夜のオペが的確に進む中、彼は小夜の背後で腰をかがめた……そして、今日も人の命を預かるこの場所でとんでもない事をするのだ。