「□□ビールドライ、××ビールの秋限定、▽▽ビールモルツ、○○赤ビール、◇◇ビール純生」
 小夜の声がマイクを通して会場に届く、静寂が会場中を包み込んだ後で。
「正解!」
 アナウンサーの声が世界を伝えると……
「わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 一気に会場中が歓喜に沸いていた。
「よくわかったな! やればできるじゃないか、偉いぞぉ! 変態小夜!」
 ポンポンと警備員の大きな手が小夜を撫でる。
 ほわっ……
 こんな事今まででは無かったのか、承認欲求なのか、褒められて嬉しいという感覚が置かれた状況を勘違いさせる。
「は、はい……ありがとうございます……」
 家での練習で出来たことの無いビール当てを遂に、スポットライトの真ん中で成功したのだった、そんな普通に返事している自分の事も想像できない。
「これでやっと次のステップへ進めるな」
「え?」
「番組ではもっと派手なものを求めているってよ」
 今日の撮影はまだ終わりじゃ無かった。