「こちらの方が、お化け屋敷の中で倒れてる小夜ちゃんを運んでくれたんだ」
 喜びながら恩人を紹介する日下に紹介された人物は、朝からずっと小夜に浣腸を続けているメンバーの一人だ。
「どうも……」
 お化け屋敷の中でも当然、この名誉市民に浣腸されていたのに彼は悪びれる風もなく小夜に挨拶するのだ。
「いやぁ、あそこのお化けはかなり怖く出来ていますからね、女性なら卒倒してしまっても仕方ない事ですよ」
 浣腸の苦痛で気を失ったのは覚えていた。
「本当にありがとうございます、僕が小夜ちゃんを見失ったりしなければ……」
「御無事で再開されて良かったですよぉ」
 名誉市民の作り笑顔に、寒気を感じる。しかも全然笑っていない瞳が小夜を見据えている。
 それは、これから何かをされるであろうことを予見していた。