「先生ありがとうございました」
 何も知らないままに手を振りながら、麻酔科医に感謝しながら小夜の前を進んでいく日下くんを、小夜はどうしても裏切りたくは無かったのだ。
「ええ、この後でも同じような事があったら、対処法は同じで大丈夫です、苦しそうでもすぐに良くなるので、心を鬼にしてぞの時間を我慢してください」
 今の言葉で、この後でいくらでも名誉市民たちはこのデートを追いかけ続けると宣言されたような物だ。
「わかりました、じゃあ」
「デート楽しんで下さい!」
 一体楽しんでいるのは誰なのだろう、遊園地をやっと後にすることになったでも……
(楽しまれてる……私は……)