「更に、淫乱症も併発しているようでに肉体的に刺激を与えなければいけません」
 更に小夜を後ろ向きにして麻酔科医の説明が続く。
「え?」
 ここに入る前に彼に割れたことはもう済んでいるはずだったから、小夜も驚くことになる。
「オペ中に浣腸をします」
「ちょっと待って下さい、ここで腸内細菌がこぼれるようなことがあったら……」
 看護師からの言葉を麻酔科医は手で制して。
「刺激は強くなるが、腸内浄化用の浣腸液を使う」
「そんなの聞いたこと、ましてや刺激が強いとオペにミスがあったら……」
 再び、麻酔科医は言葉の途中で制してから。
「大丈夫ですよね、小夜先生?」
「わたし……失敗しませんので」
 前にテレビのインタビューで言わされた言葉をもう一度口にする。
「淫乱症の癖に」
 それはあからさまな侮蔑の言葉だった。