「はじめます」
 オペに必要な器具はしっかりと並べられていく、カンファレンスに添った見事なチームワークだろう。
「ああ、ありがとう」
 麻酔科医も自らの勤めと同時にもう一つの準備を進めていく。
「こんなに量が必要なんですか?」
 看護師からの質問に、麻酔科医はゆっくりと頷くと。
「僕が薬品の量間違えたことはないだろ?」
「確かに……」
 この麻酔科医は小夜と同じように天才の名を欲しいままにする麻酔科医だ、どんな患者でもしっかり5秒で眠りに落とすことが出来た。
「はぁ」
 麻酔科医は小夜を見て、侮蔑のため息をついた。
「これも治療だ」
 小夜用に用意された浣腸器と浣腸液がオペを担当している小夜の背後に並べられていたのだった。