「小夜先生?」
 幸也の目の前で小夜は眠りに落ちてしまっていた。
 バンドの練習と、それ以外にもいくつかの理由は存在するのだが……
「これを使ってみるといい」
 そんな事とは関係なく事態は進行していく。
 小夜を気遣って起こさないように離れようとした幸也の手に乗せられたのは、何かのコントローラー。
「先生をもっと好きになれるよ、そして先生ももっと特別に看護してくれるようになる」
 心に沁み込む様に悪魔の言葉が告げられていく。
「小夜先生の特別」
 必死に幸也の音楽が特別だと証明してくれた、でも小夜先生はみんなの先生だった。
 オペを受ける勇気はもらった。
 でも……退院したらもう……
 悪魔は簡単に深層心理の奥へと降りて来た。
「なりたいよ、僕!」