「ね、止めて❤……こんな事しちゃダメぇ❤ なのよ……幸也くん」
 必死に跳ね回るピアスを無視して、いやそれ以上に幸也のことを心配している小夜は、今まさに幸也が陥ろうとしている状況を必死に押し留めようとしていた。
「気にすることはねぇこの姉ちゃんの裸が見たかったんだろ?」
 男子トイレは当然の様に公共の場所だから、誰かが入ってくる可能性を忘れてはいけなかったのだろう、しかし今は幸也くんのことが心配だったから失念していたのだ。
「う、うん……」
「男はそうでなくちゃな」
 入って来たのは、小夜のピアスを大げさに新調してくれた張本人、鍵開け職人と呼ばれる人物だった。
「あ、あなたが……」
 幸也くんを唆した犯人だと理解した。