テーブルには次々とコースの料理が運ばれて来て、どれも丁寧な仕事がされていて美味しい。
「お、美味しいね……これなんだろう?」
 話したいことがあるの内容は後でも良いかと思いながら、小夜もまた料理を次々に口に運んでいた。
「何かしらね、お肉なのはわかるけど……」
 丁寧な仕事が施されたそれぞれの料理は、ソースも相まって只々美味しいしか出て来ない。
「うん、美味しいね」
「本当に、ひん!」
 頷いた瞬間に遂にやって来たのはピアスの振動だった。
「小夜ちゃん?」
 日下くんとのデート中、彼らは何かしら仕掛けてくる事になっていた。
「ごめんなさい、ちょっと外すわね」
 必死に、それだけを言うと席を立つ、それ以上言葉にしても仕方がないのだ……
「う、うん」
 彼は気を使ってそれ以上聞いて来たりもしないのが救いだった。
「じゃ……」
 小夜を何が待ち受けているのか、当然小夜は知る由もないのだが……