「乾杯」
 カチンッ
 ワインの芳醇な香りが、記憶の中で高級なシャンパンの香りを思い起こさせる。
「ん……」
 ブルッっと下半身が震えて、今まさにビール二本分が荒れ狂う腸内がみほを不安にさせる。
「どうしたの?」
「大丈夫、良い香りね」
 そう、みほにとってお酒とは既に楽しむものではなくなっていたのだ。