「あんた、ギラの仲間なんだろ?」「だったら、もう売る物は無いよ。」
ギラが反逆者として認知されてから、コガネもその仲間という事で、今迄食べ物を買っていたお店の店主から追い払われてしまう。
「そんな…」
子供達はコガネが持って来る食料を待っている。
しかし、その日は誰も食料はおろか、他の生活物資を売ってくれることはなかった。
「みんな、ごめんなさい…」
残っていた少なくなったパンを分けて皆に配る。
オカズはなく、子供達の前で謝るコガネ。
「えー」「いいよ、一日位」「お腹減ったよー」
子供達の反応は様々だった。
翌日も、コガネは再び食料や生活物資を買う為に街中を駆け回っていた。
しかし、相変わらずコガネに商品を売ってくれる店はどこにもなかった。
『そんな…』
昨日のパンが最後の食料だったため、子供達は朝から水しか口にしていない。
まだコガネは我慢出来るが、小さな子供達をこれ以上我慢させるわけにはいかない。
『どうにかしなきゃ…』
涙を拭って、再び歩き出す。
そんなコガネを見ていた男がいた。
「君、君。」
男はコガネに声をかける。
「何ですか?」
コガネは警戒しつつ、振り返る。
「食べ物が欲しいんだろ?」
店でコガネが断られている事を見ていたと男は言う。
「僕の言う事をきくなら、食べ物位はどうにかしてあげるよ。」
怪しい笑みを浮かべる男の顔を見て、コガネは思わず後退りする。
「結構です、これからまだ行ってないお店に行くので。」
男から逃げるようにその場を離れようとするコガネに、男は懐からチラシを取り出す。
「この国には、もう君に売ってくれるお店はないと思うよ。」
ギラの手配書と一緒に、コガネの手配書を見せる。
“この者ギラの仲間につき、物資の売買を禁ずる。”
そう書かれたコガネの手配書。
「君達をじわじわと弱めて、助けに来たギラを炙り出す作戦なんだろうね。」
ラクレス王が考えそうな事だと男は笑う。 |