その女性は、愛理の手を握ってすまなそうに頭を下げた……
「ごめんなさい……え? あなた……」
「何をやってるんですか?」
「すまん、スマホみせても裸にならなかったんだよ、何でだろ?」
 子供たちの会話に、これが日常的に行われていると理解できた。
「こんなところにいやがった、帰るぞ」
「あ、モモちゃん?」
「そうだよ、勝手に異次元に飛ばされやがって、迎えに来るのも手間だっての」
 上半身を半分地表から出して、その赤鬼は愛理を怒っている、心配しての事だけど……
「だね……」
「あなた、何者?」
「えっと、野上愛理、喫茶店のマスターかな?」
「おいおい、何してるんだよ裸でいるなんておかしいだろうぉ早く服を着ろよ」
 照れてるのはモモちゃんが優しいから
「どこかに行ってしまって……」
「さすがにこのまま外に行くのはねぇ?」
 裸で歩き回るのは、子供の特権、愛理は子供ではない。
「ちっ」
「私はなんで、普通でいられるのかしら?」
「普通じゃねぇよ、全裸で公園で笑ってるのはおかしいじゃねぇか!」
 普通は先ほどのスマートフォンの画面を見たら裸になるらしい。
「んとに……おめえは良太郎の姉貴で、特異点に近いって事だろう、詳しいことなんざ、俺さまにはわからねぇが愛理は何処にいても愛理だって事だ」
 どこにても私は私。
「じゃあ、かえろうか?」
「そうしよう、身体借りるぜ」
 そう言ってから、赤鬼は愛理の肉体に憑依する、それはけして気持ちの悪い事ではなかった。
「俺……参上! 最初からフルスロットルだぜぇ!」