小島 有希&桜井 みゆき
ホイッスル!

先輩大胆ですね……の図



あいつはサッカーなめてるのよ!






  ──小島有希(1)──       作:SYARA

 最近、僕は素晴らしい日々を送っていた。
 大いなる幸運が僕の元に訪れたのだ。

 僕の趣味は、覗き。
 無論それだけでは終わらなかった事も多々ある。だが幸運にも、一度も捕まった事はなかった。
 そんな僕が最近目をつけたのは、とある中学校──東京の中でも比較的のどかな、閑静な住宅地の中にある中学校だった。

 そこは、更衣室を覗くのに絶好のスポットだったのだ。
 ブロック塀を乗り越えると、そこにはすぐに塀に隣接したプレハブがある。
 今までは男子水泳部室だったそこは、最近になって女子サッカー部の部室になっていた。
 無論学校側も女子の部室、という事で配慮したのだろう。校庭側からは入れないように、プレハブの両側から塀までを高いフェンスで囲んでいた。
 ──だが、外からは意外にも簡単に侵入できたのだ。見通しのいい道路なので侵入できないと思ったのだろう。だが人通りのないその裏道から侵入するのは、実は簡単だった。
  その盲点をついて、僕は素晴らしい覗き天国の日々を送っていた。

 これまでに、多くのコレクションを集めた。とかくサッカーは動くスポーツなので、汗をかく。
 だから着替えの時には、少女達のあられもない姿を拝めるのだ。

 何度か部員がカギを掛け忘れて帰った夜があり、その間に僕は部室の合鍵を作ることに成功していた。
 そして、部室の内側からいくつもの覗き穴と、ビデオカメラの仕掛け場所を作ってある。
 作戦は、大成功だった。スポーツブラにうっすらと乳首が浮かび上がる様子や、下着姿で片脚を上げたポーズを真正面から捉えたり──普段はとても入手困難であろう鮮明な写真を何枚も撮る事ができた。
 その写真達は、僕の大切なコレクションとして複数の媒体に保存して隠してある。
 警備員の巡回時間もすぐに分かった。その後は、まさにやりたい放題だった。
「ねぇ、誰かビオレ持ってないー?」
「なーに、ニキビ気にしてるの?」
「うるさいーっ!」
「あははは」
 部員達の名前と住所は部室にあった名簿で把握している。呼び合う名前で顔と名前はすぐに一致した。
 少女達の中でもとりわけ俺が気に入った少女は、小島有希──女子サッカー部主将の少女だ。
 彼女の写真のコレクションは、他の部員の枚数を遥かに凌駕している。絶好の標的だった。
 なにしろ、すばらしい美少女だ。しかもスポーツをしている為にプロポーションも抜群だった。
 まだ成長途上の胸がネックではあったが、それも僕にとってはこの上ない魅力だ。全く、理想の少女だと言える。
 僕は寝食を忘れて、彼女の誰も見た事のない姿をフィルムに納め続けていた。

 ただ欲を言えば、彼女達は決して下着に手を掛ける事はなかったという事──それ以上の内側を見る事は叶わなかった事が悔やまれる。
 期待は日毎に高まっていくのだが、汗みどろになっても替えの下着を用意する程ではなかったらしい。僕の望みが叶う事はなかった。



 だがそんなある日、突然絶好の機会が訪れた。
 暖かくなってきた、金曜日の夕方。日も落ちて少したった頃。
 俺はいつものように、女子サッカー部員の着替えをカメラに収めていた。
 数人の少女の下着姿が、ファインダーに浮かんでは消えていく。
(また同じ下着か……つまらないな……)
 この素晴らしき日々も、始めてから数ヶ月たった今では、少々マンネリ感を感じ始めていた。
(お、小島有希か……とりあえず、撮っとくか……)
 いくら理想の少女とは言え、全ての下着のコレクションが揃ってしまった今、少し倦怠感が漂ってしまう。
 最近はフィルム代の節約の為にデジカメを使用する体たらくだった。
 今日も、そんな見慣れた展開だと思っていたのだが……。
「ねぇ、シャワー浴びない? 今日、珍しく暑かったからさ」
 有希は傍らの少女にそう言った。
(何!?)
 僕は耳を疑った。
 今まで、備え付けられていたシャワーを使う者はいなかったのだ。
「えぇ!? でも、男子とか、まだ残ってるかも……」
 傍らの少女もそう言ってためらう。確か男子サッカー部のマネージャーをしていた──桜井みゆきといった筈だ。
「大丈夫よ、こんな時間まで残ってる子なんていないわよ、風祭たちだってこの時間じゃ河川敷で練習してるはずだし」
 そう言いながら有希はユニフォームの上着を脱いだ。眩しい素肌が露になる。
「で、でも……」
「汗拭き用のタオルもあるし、汗流すだけだからさ」
 逡巡を続けるみゆきをよそに、有希はさっさとユニフォームを脱いでいく。
(そ、そうだ……脱げ、脱げ!!)
 咄嗟にデジカメを構え、僕は必死にそう念じた。
「ほらほら、さっさと脱いだ脱いだ!!」
 有希はみゆきのジャージに手を掛けて脱がし始める。
 スポーツブラに包まれた有希の胸が、ぷるぷると踊っていた。
「きゃっ!! も、もう先輩、やめてくださいぃ」
 ふざけ合う二人の様子を、僕は夢中になって撮り続ける。
(あ……そうだ、ビデオ……)
 僕はふと我に返って、シャワー近くの穴にビデオカメラをセット仕掛けに行く事にした。
 今まで役に立たなかった覗き穴だが、ついにその役目を果たす時が来たのだ。
(これで大丈夫だ……)
 ファインダーからは、ちょうどシャワーを浴びる場所を中心とした風景が広がっていた。遠くの方に二人の姿が見える。
(よし……)
 僕はビデオを回しっぱなしにして、さっきの場所へと戻った。
(あぁっ……!!)
「だいたいね、あいつはサッカーなめてるのよ!!」
「まぁまぁ……」
 そこにはあられもない姿の二人がいた。
 一糸まとわぬ二人の姿。夢にまで見た有希の胸が、股間が、僕の眼に焼き付いていく。
(は、はやく、撮らなきゃ!)
 僕は急いでシャッターを押した。焦ったせいで、少しピントがボケてしまう。
(ち……!)
「先輩、大胆ですね……」
「そう?」
 もう一枚、と思った時には、二人はもうシャワーのほうへと向かってしまっていた。
(ちぇっ……まあ、いいか……)
 僕は気を取り直して、ビデオカメラの方へと向かう。
(勝負は、こらからだ……!!)
 逸る気持ちを抑えながら、僕は必死に次の計画を頭の中で練り始めた。

 有希を、僕のモノにする作戦を……。


いちおうつづき






SYARAさんに頂きました、ありがとうございました



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