──小島有希(2)──       作:SYARA


 ざあああぁぁぁ……
「ひゃっ、冷たいです!」
「でも気持ちいいでしょ?」
(おお……)
 ビデオカメラのファインダーに、真正面からの有希の裸身が映し出されていた。
 部室には、シャワーが3台ある。各々のシャワー配管の隣に、今は使用していない昔の配管と蛇口が残っていて──僕はそこを改造して、蛇口の内側にレンズが仕込めるようにしてあった。
 僕が覗き穴を仕掛けたのは右端の台だったが、有希は今、ちょうどそこでシャワーを浴びているのだ。
(こ、これが……これが有希の、身体か……)
 今まで下着の中に隠されていた部分が、赤裸々にされている……。
 僕は夢中になって有紀を撮り続けた。ズームを駆使し、まだふくらみかけの胸や薄いピンク色の乳首、そしてごくごく薄い陰毛の下に息づくワレメを、限界まで拡大してフィルムに収めていく。
(す……すごい……やった、やったぞ……!!)
 光量が不足していてあまり鮮明ではなかったが、僅かに開いた隙間から桜色の秘肉が覗くのを、僕はしっかりと捉えていた。
(う、うわ……有希の……アソコが……)
「やっぱり汗を流しちゃうとスッキリするねー」
「でも、やっぱり少し寒いです……」
 二人は身体を洗い流し、シャワーを止めて髪の水を切り始める。
「……えいっ!!」
「きゃぁ!!」
 突然有希はみゆきに抱きつき、背中からみゆきの胸を揉んだ。
「せっ、先輩、やめてください!」
「えー、いいじゃない。みゆきちゃんってば、もう私と同じくらいあるなぁ……いいなぁ……」
「そんな事、ないですってば……」
 はしゃぎあう二人の様子を、僕は夢中になって撮り続ける。二人の胸がぷるぷると震え、その可愛さが僕を夢中にさせた。
(これは……いいシーンが撮れたな……みゆきちゃんの裸も見られたし……)
 僕は今回の戦果に満足しながら、ビデオカメラの録画スイッチを自動に切り替える。
 また、二人の着替えを──今度は着るところを撮るのだ。
「そろそろいい? 出られる?」
「あ、はい」
 しばらくして、二人はふざけあいながらシャワー室を出て行く。僕は大急ぎで最初のポイントへと戻っていった。
 今度は、ピンボケなどという失態を犯すわけには行かない……。



 ……今度は、上手く行った。
 この穴は、部員達を下から見上げる目的で床近くの壁に開けられている。
 二人は、まさにその穴の真正面で身体を拭き始めていた。
「ちょっと、時間ないですね」
「急ごっか」
 パチ、パチ、パチ……。
 少女達の穢れのないワレメが、次々とカメラのフィルムに収められていく。
(ホントに、今日は大収穫だなぁ……あ!!)
 その時、有希がパンティを身につけようと片足を上げた。
「先輩の、可愛いショーツですね」
「でしょ。探したんだ、これ」
 どアップのワレメがファインダーに映る。──あまりの光景に、声が出るところだった。
「みゆきちゃんのも可愛いじゃない」
「そ、そうですか?」
 今度はみゆきが片足を上げ、まだ陰毛も微かにしか見えない、無垢なワレメが露わになる。
 僕は、必死になってシャッターを切った。
「うぅ、やっぱシャワー出るとちょっと寒いね」
「寒いです……」
 早々に服を着て、ロッカーに向かう二人。だがそれまでには見事な、ピンボケもない二人のワレメの写真を撮る事が出来た。
「じゃ、そろそろいこっか」
「はい! 早く夕食も作らないと……」
(夕食……? そうか、そう言えば近々合宿をするとか言ってたな)
「まったく、遅いって文句言うなら自分達で作ればいいのに」
「まあまあ……」
 二人はそう話しながらロッカーの扉を閉めた。
 チャリ──ロッカーの中でかすかな音がする。
(何だろう……? あんな音がする物、有希のロッカーには入っていないはずなのに……)
 部室の中にあるものは、全て物色済みだった。特に有希の持ち物は暗記するほど把握している。
 彼女のロッカーの中に金属製の物は無かったはずだ。──有希自身が何かを入れたのだろう。
「じゃ、行くよー」
「はい」
 パチン。
 部室の電気が消され、バタンとドアが閉まる音がした。二つの足音が遠ざかっていく。
(さて……)
 二人が充分遠ざかったところで、僕は部室に入る事にした。
 一度塀を乗り越えて外に出て、違うポイントからまた塀を乗り越えて、校庭に入る。カギを開け、音を立てないようにドアを開けた。
(あ、二人の匂いがする……)
 部室の中には、まだ先刻の二人の香りが漂っている。
(いい匂いだ……)
 僕は胸いっぱいにそのかぐわしい空気を吸い込み、有希のロッカーへと向かった。
 カチャ……
 鍵のないロッカーはすぐに開き、先程とは違う濃密な有希の体臭が漂ってくる。
(……頭が、くらくらしそうだな……)
 僕はその匂いを味わいながら、有希のロッカーをあさった。
「あ……」
 鍵だ。
 安物ではない、重厚な感じのする鍵が、可愛いキーホルダーにつけられていた。
「これ……有希の家の……!!」
 今、僕の手の中に、有希の家の鍵がある。──僕は、狂喜した。
「や……やった、やったぞ!!!」
 合宿で家に帰らないので、無くさないようにとロッカーに入れておいたのだろう。とんだ幸運が舞い込んだものだ。
(これで……有希の家に入れる……!!)
 鍵をぎゅっ、握りしめる。僕は、頭の中で次々と計画が組み立てられていくのを感じていた。
 このまま鍵が無くなってしまうのはマズい。早いところ合鍵を作らないと……。
 僕は急ぎ足で、開いている鍵屋を探しに行った……。


 なんだかつづく