亡霊の住む家 6

『次女・雪乃 C』

 雪乃は、異様な感触に目を覚ました。
「ん……」
 今、何時だろう──いつ、眠ってしまったのだろう……。
 そんな事をぼんやりと考えているうちに、自分の置かれている状況が分かりかけて来た。
 私は今、自分の部屋のベッドに寝ていて──そして、身体を誰かに触られている。
(……!?)
 はっ、とした時にはもう遅かった──何かに、仰向けに身体を押さえつけられていた。

「だ……誰!?」
 上から身体を押さえつけているの筈なのに、何故か、その姿は見えない。
 雪乃は必死に声を絞り出す。その声に答えたのは、聞き覚えのある声だった。
『誰、はないだろう? さっきまで私と楽しく遊んでいたではないか』
 声には明らかな嘲笑の響きがある。男の言葉に、先刻までの行為が雪乃の脳裏に蘇った。
「なっ……!?」
 絶句する雪乃に、更に声は言葉を続けた。畳み掛けるように。
『くっくっく……アレが全部お前の想像だとでも思ったのか? あれはな、私がやったのだ』
「!?」
『私が雪乃の想像に「割り込んで」、あんなにイヤらしい事をさせた訳だ』
「あ……!!」

 あんなにイヤらしい事──雪乃は、それが何なのかを思い知った。
 この声の主は私がさっきした事を、知っているのだ。
「いや……」
 呆然とする雪乃に、声は更に追い討ちを掛けてきた。
『雪乃は夢の中で、御主人様、と言っただろう? あれは、私だ』
「……!!」
『あの時お前は、私の物になる、と誓ったな? だから、その証を貰う』
「い……や! いやっ!! いやぁぁっ!!! たすけてっ、おねえちゃ……」

 不意に、男の声色が変わった。
『お前は、もう「大きい声が出せない」……』
「……!!!」
 突然声が出なくなり、雪乃は驚愕した。胸を強く打った時みたいに、苦しくて大声が出せないのだ。
「何を……」
 雪乃はかすれた、小さな声で言った。これで精一杯の大きさだった。
『あんまり騒がれると迷惑なんでな。ちょっと声を封じさせてもらった』
「……!!」
『これで邪魔は入らない……』
「ひ……っ、いや、いやぁぁっ!!」
 姿は見えないのに、声だけがする──見えないのに、私の身体を押さえつけている。
 言葉の内容よりも、その事実が、雪乃を恐怖に陥れた。かすれた声で叫び、無茶苦茶に暴れ、拘束から逃れようとする。
 雪乃の恐慌を見て、声は高らかに宣言した。
『そう。お前の想像どおり、私はもう人間ではない。まあ、幽霊と言うのが分かり易いか……』

「ひぃ……っ!!!」
 雪乃の悲鳴は、しかしかすれた小さな声にしかならない。
『大人しくしていれば怖い事はしない……お前が、素直に言う事を聞けばな』
「いやぁぁ……」
 恐怖に目を見開いて首を振る雪乃。もう、どうしていいのか分からなかった。
『お遊びはこの辺にするか……では、お前を貰うぞ、雪乃……』
「え、あ、やだぁっ!!!」
 いきなり雪乃の両脚がぐい、と持ち上げられ、大きく開かれた。
「や、やだ、やだぁっ!!!」

 雪乃のかすれた叫びを無視し、声の主は雪乃の膝の裏を抱えて脚の動きを封じ、股間に顔を近づけていく。
 あまり強い力ではなかったが、生まれて初めての絶頂に脱力しきっていた雪乃は、逆らう事ができなかった。
『どれ、雪乃の蜜を味わうとするか……』
 いきなり、股間のすぐ前に、唇と舌だけが現れる。同時に、生暖かい息が股間にかかった。
「ひっ……!!!」
 おぞましさに硬直する雪乃の見つめる中、舌は雪乃の花弁へと、ゆっくりと近づいていく。
「あ……あ!! やめて、いや、いやぁぁぁ!!!」
 舌の意図に気づき、暴れ始めた時にはもう遅かった。
 にゅる、にゅるるる……
「――ひぃぃぃっ!!!!」
 いきなり襲い掛かった異質な刺激に、雪乃の頭の中は真っ白になってしまう。
 舐められている──幽霊に。
 まだ幼さの残る少女に、耐えられる現実ではなかった。

「いやぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
 起きている現実を否定しようとするかのように、雪乃は両手で顔を覆って見まいとする。
 だが、一番敏感な部分から送られてくる刺激は、誤魔化しようがなかった。

 ちゅる――ちゅる、ちゅく、ちゅく……
「あ……あぁ、あぁぁぁ……」
 舌の動きは巧みだった。恐怖に硬直していた雪乃の膣を、少しづつ少しづつ、次第に次第に、ほぐしていってしまう。
「や、やだぁ、やだぁぁぁ……」
 雪乃の秘裂の溝を、膣口を、尿道口を──舌は雪乃の声などお構いなしに這い回る。先程の絶頂の余韻が残っている雪乃の身体は、すぐさまそれに反応して雪乃の身体を熔かしていった。
「やめてぇ、やめてよぉ……あ、ああっ!!!!」
 そして舌はとうとう、雪乃のクリトリスに辿り着いてしまった。今までとはケタ違いの快感に、雪乃の腰が勢り上がる。
 雪乃は両手で秘部を隠そうとしたが、すぐに押さえつけられてしまった。
 巧みに包皮を剥かれ、薄桜色の肉芽は邪悪な視線に晒されてしまう。唇が、嘲笑の形に歪んだ。
「やめて……やめ……ひいいいっ!!!!」
 ざらり。
 直接やすりをかけられたような刺激に、雪乃の身体は軽いアクメに達してしまう。
「あ……あぁぁぁ……」
 更に舌は容赦なく、雪乃の肉芽を蹂躙した。ざらりと舐め上げ、舌先で潰し、唇で挟み、そのまま左右に擦り、吸い、噛み──
「うあぅ、やぅ、やぁぁぁ、うあ、あ、あああっ!! やだ……あ!!! ああっ!!! ああああ!!!!」
 ──その度に、雪乃の身体はバネ仕掛けの人形のように跳ね回った。
『いい声だ……』
「お願い、おねがいぃ……こんなの、やめてぇ……」
 雪乃は弱々しく首を振りながら、涙を眼にためて哀願する。だが、その答えは無情だった。
『くっくっく。こんな所でやめる馬鹿などいるものか……さぁ、無駄な抵抗はやめて快楽に身を任せろ。私が女にとっての天国に──素晴らしい絶頂に導いてやるからな』
「いやぁぁぁぁ……」
 雪乃は弱々しくかぶりを振った。もう、彼女にはそうする自由しか残されていないのだ。
 嘲笑を浮かべていた唇が、再び雪乃の股間に近づき、ぴちゃぴちゃと音をたて始めた。
「あ、あ、あぁぁう……あう、うぁぁ、あ、あぁっ!! い、いやぁっ、いやぁぁっ、やめてぇぇぇっ!!!」
 雪乃の愛液はこんこんと湧き出し、会陰を伝ってシーツに黒い染みを作り出している。その中には既に、白濁したものが混じり始めていた。

 初めて味わう、他者からの愛撫──自慰すら先程経験したばかりの少女に、耐えられるはずもない。
 対して、彼の舌技は巧みだった。それは幾人もの女性との関係で培われた、百戦錬磨のテクニックだったのだ。
 瞬く間に雪乃は舞い上げられ、絶頂の瀬戸際へと追い詰められてしまう。
「あぁぁぁ……いやぁ、いやぁぁぁ……」
 雪乃の全身は、もう絶頂の予兆にふるふると震えていた。
 自分に何が起こるのか──羞恥と恐怖の入り混じった中で、雪乃は身体中からこみ上げてくる欲情に、流されていく。
「はぁぁぁぁ……あ、あ……うぁぁ……も、もう、もう……」
 雪乃は背筋を弓なりに反らせて突っ張り、指が白くなるほど強くシーツを握り締めていた。
『もう限界だろう……さあ、私の快感を受け入れろ!! さあっ!!!』
 その言葉と共に空中に指が現れ、クリトリスを二本の指で挟み、きゅっきゅっとしごかせた。
 雪乃の身体が、がくんと跳ね上がる。


「うあああああああ、あああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 頭の中が、真っ白だった。先程とはケタ違いの絶頂が雪乃の中で爆発し、少女の精神を快楽で満たしていく。
「あああぁ、あぁぁ、ああ……ああぁぁぁ……」
 びくんびくんびくんと痙攣を続ける身体を見下ろし、彼の唇はニヤリと歪んだ。
『では、頂くとするか……』
「え……?」
 期待に満ちた男の声に、雪乃はかすかに応えを返す。
 ぼやけた視界に、醜い男の肉棒が現れた。
「……?」
 ぼんやりと雪乃が見つめる中、その赤黒い欲望は彼女の蜜壷へと近づいていく。
 ぴと……
「……!?」
 その先端が密着した瞬間、はっ、と雪乃は意識を取り戻した。本能的な恐怖がシグナルを鳴らしたのだ。
 だが──それは、遅かった。
「やっ……!?」

 雪乃が状況を把握して動こうとした瞬間──。
 ずん。
「うあああああっ!!!」
 圧倒的な存在が雪乃の中に割り込んだ。そして──
 ぷちぷちぷち……
 全身が焼けるような、破瓜の激痛が襲いかかる。
「ああああああああああああああーーーーーーっ!!!!」
 自らが放つの絶叫の中、雪乃は一気に内奥まで貫かれていた。
「はぁ…………………………っ!!!!」
『くっくっく……』
 つうっ、と処女の証が流れ出た。霊体でありながら、男の肉棒は少女の純潔を奪ってしまったのだ。
「あ……あ……い、痛い……痛いぃ……」
 余りの激痛にぽろぽろぽろ、と涙をこぼし、雪乃は弱々しく後ずさった。
 ずん。
「ひぃぃ……っ!!」
 だが肉棒はすぐに動いて雪乃の膣を突き進み、雪乃に更なる激痛をもたらしてしまう。
「い……痛い、いたいよぉ……」
『ついに……ついに頂いたぞ……雪乃の処女を……』

 悲痛な雪乃の悲鳴とは対照的に、間近に聞こえる男の声は満足感に満ちていた。
「うぅ……ぅ……」
『くくくくく……私が雪乃の、最初の男か……これからもずっと私の物にしてやるぞ……身も心も、な……くくくく……』
「お……かあさ…………」
『安心しろ。お前の母親もすぐに仲間にしてやるさ──すぐにな……』
 雪乃は泣きじゃくって暴れるが、見えない男の腕に押さえつけられてしまう。
「た……すけ……」
『くくく。誰も助けてはくれんぞ……それにしても良い締まりだな、雪乃』
「あ……あ……」

『それに、熱い……この暖かさは何年ぶりかな……さぁ、動くぞ』
「あ、あ!! あぐぅ!!」
 ずっ、ずっ、ずっ……

 男の分身は膣内で激しく動き始め、雪乃は口をぱくぱくと動かして痛みを訴えた。
「い……い……たい……よぉ…………」
『──痛いか。次からは痛みを消してやってもいいが……今回は我慢してもらうぞ……』
「あ……あぐ……」
 ずぐ、ずん、ずん……
 肉棒は容赦なく、雪乃の内部を抉っていく。激しい痛みに雪乃の身体はがんがくと力を失っていき、その瞳からは光が失われていった。
『私が……この私が、思うが侭に、雪乃の秘肉を味わえる時が来るとは、な……』
「あ……、ぁぁ……」
 呻き声も次第に小さくなり、やがて雪乃はがくん、と身体中の力を失い、気絶してしまう。
 どさ……。
 だが、意識を失って倒れ込む身体に、容赦なく『声』は掛けられた。
『起きろ』 
「……、う……」
 強制的に目を覚まされ、雪乃は苦しそうに呻いて目を開いた。
『……この程度で気絶されては困るんでな……』

 肉棒はまだ、雪乃の膣に収まったままだ。あまりの乱暴な動きに膣口からは鮮血が溢れ、途切れる事なくシーツを赤く染めていた。
「もう……やめ……て……」
『まだだ。男と女の儀式はな、女が男の精を受けて終わるんだ』
「……っ!!」
 目を見開いて息を呑む雪乃。保健の授業で、それが何を意味するのかは習っていた。
『しっかりとお前の中に放ってやるからな……楽しみにしていろ……』
「や……やだぁ、やだぁぁ……」
 ずん、ずん、ずん、ずん……
 雪乃はぽたぽたと涙を流して拒絶しようとするが、力の抜けきった身体は押さえつける腕を撥ね退ける事ができない。
『いいぞ……いい肉壷を持っている……これは、そう長持ちできそうにないな……』
「ああぁ、ああぁ、いやぁぁぁ……」
 間断なく押し寄せる痛みと恐怖に、雪乃の声は震えた。何とかもがいて男の束縛から逃れようとするが、その動きは弱々しい。
『くくく……こんな幽霊の精を受けて、お前はどうなるんだろうな……』
「いやぁぁ、いやぁぁぁ……」
 容赦なく投げかけられる言葉が、雪乃の心をも深く傷つけていく。

 どこにも逃げられない──誰も助けてくれない──。


 絶望はもう、その顎で、雪乃の精神を食い尽くしつつあった。
 そして焼きつくような痛みの中、ついに最後の時が来る。
『おおっ、来る……来るぞ。数年ぶりの至福が……そら、行くぞ。そらそらそら』
 ずんっ! ずんずんずんずん!!
「ああっ、あああっ、あああああ!!!!」
 失神しそうなほどの痛みと、内部を抉られるおぞましい感触に、雪乃は力無く首を振った。
 力を失った両脚はふらふらと揺れ、瞳は焦点を失い、表情はどんどん虚ろになっていく。
『おおぉ、おおおおぉ、来る、来る、来るぞぉぉ!!!』
 ずぐ、ずぐずぐずぐ……

「いやっ……いやああああああああああ!!!!!」
 びゅく!!
「あ!!」
 瞬間、男の身体全体が震え、熱い迸りが雪乃の膣壁を打った。
『うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!』
 びゅるん、びゅる、どく、どく、どく……
「あ…………ぁぁ………………」

 ついに男の精が放たれ、異様な感触が雪乃を覆う。
 悪夢のような結末に、雪乃の精神は絶望の中に飲み込まれていった。

 びゅく、びゅく、どくん、どくん、どくん……
「………………、…………」
 雪乃が放心した後も、男の精はとめどなく吐き出され、幼い膣を溢れさせていく。
 接合部からは余った精液がどろ、どろりと流れ出し、雪乃の鮮血と混じってピンク色にシーツを汚していた。
『おおぉ、おぉ……全部、雪乃の中に注いでやったぞ……ふは、ふはははははははははは!!!!』

 どさ……
 全ての意思と気力を失い、人形のように身を投げ出す雪乃。

 すぐ階下には家族がいるのに……。
 誰も気付いてくれない、助けてくれない……。

 雪乃の心は、真っ黒な恐怖と絶望に閉ざされていた……。



 亡霊の住む家 7 に続く








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