亡霊の住む家 12

 『長女・由佳 B』


 今夜の標的は──由佳だ。
 抱き合って眠っている母と三女には手を出せない。口惜しいが、仕方が無かった。

 それに霊感の強い鈴穂には、まだ手を出さない方がいいような気がする。
 それよりも、他の家族を全員私の性奴とし、その女達を使って鈴穂を追い詰める方が得策だ。

 まずは、あの潔癖症の長女を淫道に堕としてやるのだ──私の胸は、期待に弾んでいた。

 たが、雪乃の時のように彼女の処女を無理矢理奪うのでは面白くない。
 せっかくの由佳の純潔だ、思い切り趣向を凝らして奪ってやろう……。ここは作戦を練って掛からなければ、な。
 私は由佳を追い詰める光景を思い描き、声を立てて笑っていた。



 由佳を探して廊下に出ると、ちょうど階段を下りようとしている彼女を見つけた。
 寝巻きのままの寝惚け眼で、ふらふらと覚束ない足取りだ。
(ふむ。こんな時間に階下に降りる用事と言えば……)
 思いつく行き先は一つしかない。私は先回りし、由佳を待ち受ける事にした。
(…………)
 案の定、由佳はトイレに入ってきた。
(さて、由佳の放尿ショーだ……)
 目の前で見物している私に気付く事もなく、由佳はパジャマのズボンとパンティをするすると引き下ろしていく。

(くっくっく……)
 そのまま便器に座り込む由佳を、私は下から覗き込んだ。
 霊体の時のこの身体は、あらゆる物を通り抜けられる。私は身体を半ば便器の中に重ね、目前に由佳の性器を拝んでいた。
(さぁ、出すんだ……)
 そんな屈辱的な光景を晒しているとも知らずに、由佳は溜まっていた小水を一気に開放してしまう。
 ぷしゃぁぁぁぁああ……
(おお…………!!)
 じょぼ、じょぼじょぼじょぼじょぼ……
 ぱっくりと開いた大陰唇の間から、金色の水流が迸っていた。
 小水を噴き出す尿道口も、小陰唇から覗く膣口も、包皮に隠れたクリトリスも、これ以上ないくらい鮮烈に見る事ができる。
 性への目覚めを迎えながらも、未だ開花の途上にある、清楚な性器……ごく薄い陰毛の下に、美しい桜色を保った秘肉が、そこにはあった。
 まだ私以外の誰も見た事のない、秘密の花園……。
 じょぼじょぼじょぼじょぼ……
 眠っている間に溜め込んだ尿はしばらく勢いを失わず、私は心ゆくまでその放尿ショーを眺めた。
「……ふう」
 軽く安堵の息をつき、由佳はトイレットペーパーで秘部を拭き、また下着とパジャマのズボンを一気に引き上げる。
(くくく……いいモノが見られたな……)
 トイレを出て行く由佳を嘲笑いながら、私は彼女の後を追う事にした……。




「は、ん……」
 由佳の部屋に、熱い吐息が響く。
 彼の魔の手は、眠っている由佳にまで伸ばされていたのだ。
「ん、んぅ……」
 真夜中の部屋に、悩ましげな声が響いていく。
 ベッドの中では、由佳の身体がごそごそと蠢いていた。



 先日のオナニーで、由佳の性欲を目覚めさせる事は格段に簡単になっていた。
 幾つか淫らな言葉を吹き込むだけで、たちまち由佳の身体は火照りだすのだ。
「ん、ふ……」
 だが、声でオナニーに導いたあの一件以来、由佳は予想に反して禁欲の日々を送っていた。
 それは素晴らしい精神力と言える。しかし、それは私にとって好都合な事実だった。
 オナニーの快感は、我慢すればするほど大きくなる。そして私は毎晩のように、由佳に性感マッサージを施してやっていた。
 いつも絶頂を迎える寸前まで追い詰め、そして止める──この焦らしに由佳の憶悩はいや増し、そしてその性感をもどんどん高めてしまっていた。


 だが今夜はマッサージだけではなく、更に久しぶりの絶頂に導いてやるつもりだ。
 雪乃には『物音がしても目を覚ますな』と命じてあるし、法子と鈴穂の居る両親の寝室には遠くて声が届かない。準備は万端だ。
『……さぁ。我慢は身体に毒だぞ、由佳。快楽に身を任せるのだ……』
 そっと、掛けられている毛布を剥ぐ。白い、大き目のパジャマに身を包んだ由佳の全身が現れた。
 パジャマの上着の大きなボタンに手を掛け、一つ、一つと外していく。
『ほら、こんな邪魔な物は脱いでしまえ……』
 全てのボタンを外し、私は由佳の上着をはだけていった。
 ──由佳は、まだ眠っていて気づかない。
『ふん……もう乳首が硬くなってるぞ、よほど欲しいと見える……』
 言葉の通り、由佳の乳首は既にピンと屹立して天を向いていた。
 その薄ピンク色の乳首に、半透明の指が絡みつく。その絶妙な感触に、由佳はびくりと反応した。
「ん…………」
『気が狂うほど、気持ち良くしてやるぞ……』
 指は執拗に由佳の乳首をこね回し、摘み、転がして愛撫し続ける。
 ぴく、ぴくと由佳の目蓋が震え、ため息のような艶かしい息が一つ洩れた。
「ん、ん…………はぁ…………」
 くね、くねと乳首は妖しいダンスを踊るように、5本の指に玩ばれる。それに呼応するように由佳の身体がぴくり、ぴくりと反応し始めていた。荒くなった寝息が、はぁ、はぁと艶かしく響いていく。
『どうだ、気持ち……良いだろう。お前の身体はもう、快感に耐えられなくなっているのだ』
 由佳はうっすらと汗をかき、ほんのりと彼女自身の匂いを立ち上らせ始めていた。
 乳首はもうピン、と硬くなり、その弾力で私の指を楽しませている。
「んっ!! う……ん…………」

 私は唇を実体化させた。
 ちゅぱ、と水音が辺りに響く。舌が、唇が、歯が、次々と彼女の乳首を襲い、由佳の反応は一気にそのボルテージを上げていた。
「はぅ……っ!!」
(……このまま起きてしまってはつまらないな、よし……)
 母親の法子の、あの夜の痴態を思い出し、由佳の耳元に口を寄せた。
『いいか、由佳。お前はこれから、絶対に起きられない。眠ったままだ、いいな……眠ったままでイけ。私がこれから、思いきり狂わせてやるからな……』
 由佳の目蓋がぴくぴくと動く。どうやら『言葉』は届いているようだ。

(……いいぞ……)
 声が届いていることを確認し、私は部屋の明かりを点ける。
 たちまち昼光色の柔らかな光が部屋に溢れ、朧げに見えていた由佳の裸身を余すところ無く暴き立てた。
『撮影開始、だ……くくく……』
 ベッドの下に忍ばせておいたビデオカメラを、念力で持ち上げる。
 そのまま彼女を上から見下ろす位置で固定し、その全身を舐めるように撮影した。
 もはや隠しようも無く、くっきりと、美しい由佳の裸身がビデオに刻まれていく。
『このまま、堕ちていく様子を映像に残してやろう、永遠にな……』
 私は満足げな笑い声を洩らし、再び彼女の乳首へと覆い被さった。

 ちゅる………ちゅぱ…………ちゅるる……
「ふっ、ん……んんぅ…………う、ふぅぅ…………」
 由佳の反応はいよいよ顕著になっていく。腰をくねらせ、寝返りを打とうとして押さえられ、手で胸を覆おうとして押さえられ……。
 最初は閉じていた唇が少しずつ開き、可愛い舌が覗いていた。呼吸はどんどん荒くなり、鼓動もどんどん強まり──そして、もぞりと太腿を擦り合わせる。
(感じているな、よし……)
 私は乳首の愛撫を止め、由佳の下半身へと移動していった。
 パジャマのズボンは、寝汗ですっかり湿ってしまっている。そのかぐわしい汗の匂いを胸一杯に味わうと、彼女の全身を持ち上げた。
 ふわり、と、由佳の全身が中空に浮かび上がる。ビデオには、まるで手品のショーのような光景が映されている事だろう。
「ん…………」
 はらり、と自然に、はだけられていた由佳の上着が両腕から抜け落ち、そしてズボンがするすると下がり始める。由佳の純白のパンティが露になっていった。
 だが、固く閉じられた太腿につっかえ、ズボンはそこで止まってしまう。
『由佳、脚の力を抜け……』
「んん……」
 ぴくり、と由佳の目蓋が動き、その両脚から少しずつ力が抜けていく。
『そう、そうだ……よしよし……』
 やがて完全に力の抜けた両脚を、見えない両手が広げた。太腿の間が開いたところで、再びズボンが下げられていく。
 生暖かい息が、由佳の腹部にかかっていた。
『くっくっく……』


 ズボンを片脚の先に残し、由佳の太腿を大きく開く。V字に開かれた太腿の間に、白い布地に包まれた由佳の秘部が息づいていた。
 私は顔を近づけ、その香りを思い切り吸い込む。
『おっ……』
 布地の中心に、縦線状の染みを発見し、私は歓喜の声をあげた。
『そうかそうか。そんなに欲しいのか……ならば、くれてやるとしよう、とびきりの快感をな……』
 私は実体化させた指を、そこへと伸ばした。
 布地が、小さくに凹む。
「んう……!!」
 由佳の太腿に緊張が走り、ぞくぞくぞく、と鳥肌が走った。
 指先を少しずつ動かし始める。ゆっくり、上下に、浮き出ている染みをなぞるように。
 ――まだ硬さの残るその部分を、ほぐすように、くすぐるように。
「は……っ……」
 ぶるっぶるっ、と由佳の腹筋が揺れた。指先になぞられる度に、薄い布地の染みは広がっていく。
 部屋の中にくしゅ、くしゅ、くしゅといやらしい音が響き、由佳の背筋が少しずつ、少しずつ反り上がっていった。
「はぁ、は……ぁ…………あぁ……」
 甘い甘い電流が、由佳の身体を絡めとっていく。パンティの染みはもう、染みとは言えないほどに大きくなっていた。
『気持ち良いか? よしよし、こんなに下着を濡らして、いやらしい娘だ……』
 決して耳には聞こえない、精神の声が嘲笑する。夢の中の由佳の心にも声が届いたのか、その頬にかぁっと羞恥の朱がさした。
「ああぁぁ……っ……」
『どれどれ、私がお仕置きをしてやろう……とても気持ちの良いお仕置きを、な……』
 指先にパンティのゴムをくぐらせ、裏返して下ろし始める。次第に由佳の下腹部が露出していった。
『くくくくく……』
 少しずつ少しずつ、由佳の淡い陰毛が露になり──そして、既にびしょ濡れになっているクレヴァスが現れた。 
『はっはっは、随分と敏感ではないか……』
 布地がクレヴァスから離れる。布地の裏側に貼り付いた粘液が、糸を引いてクレヴァスに伸びていた。
 布地の裏側は、もう由佳の愛液でドロドロになっていたのだ。
(これだけ汚れていれば、自分が無意識のうちに自慰行為をしたと思うかもな……)
 私はパンティと、途中に引っかかっていたズボンを脱がせる。
 これで由佳は、全裸になった。
 そして両膝を曲げさせて股間に頭を入れた。いわゆる「マンぐり返し」の体勢だ。
 ──目の前に、濡れて咲きかけた由佳の花びらがある。
『……美しい……』
 女の全てが、そこにあった。
 清楚な少女の身体の中で、そこだけが――待ち望んでいた快感に悦び、淡い茂みの影に、薄ピンク色の花芯を開きかけている。
 私は指先でその秘裂を大きく広げ、薄ピンクの襞の奥、爛れたように赤い、その中心に唇を近づけていく。
 ちゅく……
「はう……っ!!!」
 触れた瞬間、由佳の身体が跳ねた。軽いアクメに達してしまったようだ。
 溢れる蜜の味が、口の中に広がっていく。
『ふ、ふ、ふ……これが、由佳の味か……やはり、親子姉妹でも微妙に違うものだな……』
 身体の実体化というのがどういう理屈なのかはよく分からなかったが、どうやら身体の一部を生身と同じ状態にしてくれるらしい。
 今の私には味も匂いも、感じる事ができていた。
 ちゅく、ちゅくちゅく……
「あ……あ、あ!! ああぁ、ああああ!!!」
 唇と舌を駆使し、由佳の秘肉を掻き回す。
 待ち望んでいた快感を桁違いに与えられ、膣は涙を流して悦んでいた。
 大小の陰唇を、膣口を、尿道口を──そして、包皮に隠れているクリトリスを、吸い、擦り、舐め回す。
「ああぁぁ、ああぁぁ、ああぁぁぁ……ふぁ、ああああああぁぁぁ……」
『気持ち良いだろう、堪らないだろう? さぁ、快感に身を任せて、究極の悦楽を味わうのだ……』
 ぶるぶるぶる、と震えながら、由佳は快感を逃がそうと無意識に脚で宙を掻いていた。内腿にも力を入れて秘部を隠そうとしたので、軽い金縛りをかけてやる。
『動くな!!』
「は……!!」
 由佳の身体は動きを止めた。それでも、由佳の身体はぶるぶると震え、必死に快感から逃れようともがこうとする。
 自分の手淫経験が数度あるだけの、そして他者から与えられえる快感など初めてである少女にとって、耐えられるレベルの快感ではなかったのだ。
 催眠術のような声で快感を増幅され、しかも無防備な身体を巧みな指で、舌で愛撫され──由佳の身体はどうする事もできずに、ただ舞い上げられていく……。
「あ・あ・あ……やぁ、あああ、ああああ、ああああ!!」
 愛撫は既に、彼女のクリトリスを剥き出すところまで進んでいた。
 舌先でくり、くりと転がされ、由佳のクリトリスはむくむくと硬さを増していく。
「あ、ああぁ、ああああぁ、あぁぁぁぁ……」

 普通の状態であれば、とうに飛び起きているような刺激だっただろう。だが今の由佳は、私の暗示によって強制的に眠りの状態に留められてしまっている。
 眠ったままだというのに、由佳はもう絶頂寸前まで舞い上げられてしまっていたのだ。
「うぅ、うぁぁ、ぁああああああ、あうぅぅ……」
 由佳は口を大きく開き、熱い吐息を洩らせて喘いでいる。霊体の刺激──それは、直接触られる刺激だけではない。精神にダイレクトに届く、言わば精神的な快感を感じてしまうのだ。
 たとえ眠ったままでも、由佳の精神には快感が刻み込まれているはずだった。
『そうだ、そのまま快楽に流されろ――堕ちてしまえ!!』
 動く事も、起きる事も叶わずに、由佳はその身体に快感をどんどん溜め込んでいってしまう。
 ……そして、それが破裂する時がきた。
「う、うあ、あああ、あああああ!!」
 口をパクパクと魚のように動かしながら悶える由佳の──その身体の震えが、ついに最高潮に達したのだ。

『……さぁ、イけ! イけ!! イけ!!!』
 声で命じると共に、ありったけの愛撫を由佳の女芯に加えてやる。両手が引き千切らんばかりにシーツを握り締め、ぴんと伸びていた脚の指が、きゅっと折り畳まれた。
 くりっ、くりっ、くちゅ、くちゅくちゅくちゅくりくりくりっ!!!


「うあ、あ、あ…………ああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーー!!!!!!」

 ぶるぶるぶるっ、と身体を震わせた後、由佳は声を張り上げて果てた。
 ぴゅっ、ぴゅっぴゅっ、と愛液がシーツに飛び、小さな染みの塊を模っていく――そして、莫大な量のエナジーが、再び私の中に流れ込んだ。

『ふふふ……いいイきっぷりだ。いい子だぞ、由佳……そうだな、褒美をやるとしよう、くくく……』
 ビデオカメラと一緒にベッドの下に隠しておいた性具――4点ローターを取り出す。
 一つのスイッチに4つのピンクローターが繋がっている、特注品だ。
 単純なオンオフで4つを同時に動かすことしか出来ないが、いくつかのパターンのスイッチを押すことにより、4つをバラバラの強弱で連動させられる逸品だった。
『まずは、1つ……くくく……』
 4つのうちの1つを手に取り、スイッチを入れて由佳の秘部へと近づける。
 しどけなく開かれた両脚の間、未だ絶頂に震え続ける、クリトリスへと――。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……あ!? ああっ、あああああっ!!!」
 ヴヴヴン、ヴヴヴン、ヴヴヴン――
 包皮から半ば顔を出していた肉芽に――その包皮をめくり上げ、剥き出しになったクリトリスに直接、振動するローターを押し付けたのだ。
 ――抉るように、下側から、その小さな蕾全体を思う存分、震わせるように。
「あひぃっ、ひぃぃぃぃっ!! ああっ、ああああああーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
 あっけなく、それだけで由佳は身体を引き攣らせて絶頂を迎えてしまう。


 がくん、がくん、と腰は上下に揺れ、膣口からは滾々と白濁した愛液を湧き出させていた。
『くくくくく、そうだ、イけ……イき狂え……』

 一旦ローターのスイッチを切り、打ち震える由佳の身体に残りのローターを取り付ける。
 (これも隠しておいた)テーピングを使って2つを両方の乳首に密着させ、最後の一つをひくひくと蠢く膣の中へと滑り込ませた。
 最初の一つは当然、剥きだしになっているクリトリスに押し付け――スイッチを入れる。

「――――――――――――――――――――――――――――っ!!!!!!!!!!!!」

 由佳の全身が、感電したように跳ねた。
 金縛りを掛けてあるにもかかわらず、その両手が動いて暴れるローターを毟り取ろうとする。
『――おっと。『お前の手足は全く力が入らん』ぞ――無駄な抵抗はやめるんだな』
 途端に、由佳の四肢は硬直したかのように動きを止め、ぱたりと力を失って投げ出された。
 それでも荒れ狂う快楽から少しでも逃れようとするかのように、由佳はその背筋は限界までしなり、右へ左へと跳ね回る。
「………………………………………………!!!!!」
 首を逸らせて絶叫するように口を大きく開きながらも、余りの刺激に声も出ないのだろう――かすれた呼吸音だけがその喉から漏れ出している。
 乳首は硬く勃起してテーピングを剥がさんばかりにローターを押し返し、よりダイレクトな刺激を彼女の脳裏に送り出し――。
 膣に潜り込んでいる一つは、指に助けられて巧みに彼女のGスポットをぐりぐりと攻めまくり――。
 決壊直前のダムのように、由佳は絶頂の渦の淵にしがみ付いていた。
 ――危うい均衡を保ちながら。
『ふ、ふ、ふ……そんなに良いのか、由佳よ……だが、まだだ。まだ許しはせんぞ、もっともっと、快楽をその身に刻み付けろ』
 そう言い、私は由佳の脇腹をつぅっと撫で上げた。4点以外からのいきなりの刺激に、たまらずにぎりぎりの均衡が崩れた。
 ひぃぃっ、と由佳の喉が鳴り――なおも本能的に逃げようとするその腰を、無理やり引き寄せる。

 そして、逃げ場を完全に失った由佳は、もう幾度目とも知れない絶頂を迎えてしまった。

「あああーーーーっ!!!! あ、あ、あ、あぅ、うわぁああああーーーーーーーーーーーーぁぁーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

『イキ狂いに入ったか……くくく、そうだ、もっと、もっと感じろ……理性など快楽で熔かしてしまえ』



「ああああ、ああああああっ、ふぁああ、あ、あ、あ、あああああっあああぁああぁぁああああああっ!!!!!!」

 断続的に、波のように、由佳の身体からエナジーが放たれていく。
 何度も何度も――ランダムにバラバラにその刺激の強さを変える4つのローターに、由佳は踊らされるかのように悶え狂い、跳ね回った。
『さぁ、見せてもらうか――』
 私は由佳の右足首を掴み、高々と持ち上げる。丁度体位で言うところの松葉崩しに近い形になる。体重が掛かる為に大きく両脚が広がった。
 その、中心。
 度重なる絶頂と、侵入したローターからの絶え間ない振動にひくひくと蠢き続ける花弁から――
『おおおお……』
 ぴゅっ、ぴゅっぴゅっ、と勢い良く愛液が吹き出していた。
『やはり潮吹きか。この年齢で既に吹けるとはな……これはこれは』
 私が悦に入り、歓声を上げている間にも、由佳は悶絶のうちに絶頂を繰り返している。

「かっ、は……ぁ……あぁぁ…………うぅ…………」

 もう声も枯れ、かすれた呻き声を上げるだけだが、びくんびくんと跳ね回る身体は未だに収まる気配はない。
『ふふ、はしたなく蜜を吹きおって……どれ、私が味わってやるとするか。感謝しろよ、由佳――』
 局部を攻めていた2つのローターを引き抜き、代わりにクリトリスを、蜜を吹き出させている膣を、無茶苦茶に嘗め回す。
 ちゅる、ちゅるちゅる――
「あはぁぅっ!!!」
 舌が触れた途端に、電撃に触れたようにアクメを迎える。
 再び訪れたイキ狂いに暴れまわる由佳に構わず、思う存分にその花弁と、滾々と湧き出る愛液をすすり、味わった。
 ちろちろちろ……
 ローターとはまた違う刺激を受けて、由佳の全身にゾクゾクと鳥肌がたっていく。

「ぐ…………ひ、ぃ……………………」

 尿道口を舌先で攻めていくと、由佳が奇妙な呻き声を漏らせて全身を突っ張らせ、わなわなと震え始めた。
 舌に今までとは違う、しょっぱいような苦いような味が広がっていく。
(失禁――したのか――)
 ちょろ、ちょろ、ちょろ……
 先程のトイレからそんなに時間が経過していないため、その量はごく少量だったが――。
 由佳は間違いなく、度重なる絶頂の果てに、とうとう失禁してしまったのだ。

「…………………………、………………………………」

 同時に今までとは比べ物にならないほどのエナジーの奔流が、由佳の全身から溢れ出していく。
 余りにも多すぎるその量に、私はそのエナジーを余すところ無く取り込みながらも、由佳の身に危険を感じた。
(少し、やりすぎたか……?)
 さすがに焦りを感じ、私はローターのスイッチを切った。
 暫くは由佳を休ませることにし、改めてその全身を見下ろす。
「はぁ……はぁ……、ぁ……はぁ……」
 由佳は完全に脱力し、ぐったりとその全身を投げ出している。顔色も悪い。
『…………』
 だが、その姿には由佳以外の誰にも表現しえない「美」に溢れていた。
 開花を迎えた瞬間の、少女の儚い美しさ。
 可憐なその姿の全てを、投げ出すように晒しているそのアンバランスさ。
 苦悶の表情と、全身をわななかせ続ける絶頂の悦び――。

 魂が震えるほどの感動を感じると共に、根底からはマグマのようなとめどない性欲が湧き出てくる。
『このままお前を貪り尽くしてやりたいが――まあ、今日はここまでにしてやろう、死なれてしまっては事も子もないからな』 
 後は感度の調教をする事にし、私は改めて4つのローターを先程の位置に「装着」させた。



 ブブ……ブブブブ………ブブブン……ブブブ……
 絶頂しないながらも快楽の海を漂い続けるように、微弱な刺激を与え続けるようにリモコンをセットする。
 無論、愛撫の手も休めない。首筋を、脇腹を、会陰を、内腿を――指と舌で執拗に、繰り返し繰り返し、優しく、愛でるように這わせ続ける。
「はぁ……ぁ、ぅ…………うぅ……ん…………」
 くねくねと白い蛇のように艶かしく、煌く寝汗を纏わせた裸体をくねらせながら、由佳はさざ波のような快感に浸っていた。
 ローターと舌、指先からの刺激の波が、度重なる絶頂の波を長く、長く続かせているのだ。
 その表情は苦悶の入り混じったイき狂いのそれから、完全に蕩けたような悦びの笑みへと、変わっていく。

 そのまま、優に1時間以上――。
 私は、由佳の愛撫を続けた。
 全く、これだけの攻めを加えながら目を覚まさないのだから――声の力は偉大だ。
「あ……ぅ、あぁぁ……ぁ、ぁ、ぁ…………く……う、うぅぅ、ん……」
 めくるめく快楽が、少女の精神を灼いていくのを、至福の思いで見守る。
 これでまた一つ、由佳の身体に快楽という刻印が刻まれたのだ。
『ふふ――いい娘だ。全てがどうでも良くなるほどに、気持ち良いだろう? これこそが女の一番の幸せ……これに勝る悦びなどありはしないのだ、由佳……』
 私の声は岩のひびに染み込むように少しづつ、少しづつ由佳の精神に浸透していく。
「あぁ、は……あぁ…………ああぁぁ……」
『お前はただ、その身に快楽を受け入れ、酔いしれていれば良い……』
 由佳の身体はびく、びくと淫らに踊り続け、その表情は愉悦に彩られている。
(この亡霊という身分も、便利なものだな……くくく……)
「ぅ……ぁ……」
 眠りながらも全身で息をする由佳。彼女の記憶には、この出来事は淫夢と現実がごちゃ混ぜになって残る事になるだろう。
 そして身体は、度重なる調教にどんどん感度と淫靡さを増していく……本人の意思を嘲笑うかのように。

 もう由佳に、逃れる術は、無くなっていたのだ。



 全く、よくもこうまで美しい獲物揃いの一家が越してきたものだ。
 普通に街を探したとしても、ここまでに上玉の揃った家庭など、まずありえないだろうに。

 私は中空からの撮影を続けていたビデをカメラを降ろし、内容を確認した。
 ――しっかりと撮れている。由佳の愉悦も、絶頂も、余すところ無く――。
『くっくっく……』
 新たなコレクションとしてテープを天井裏に隠し、別のテープをセットする。

 次の標的を誰にするか――考えるだけで楽しみだ。




 亡霊の住む家 13 に続く




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